キャリアパワー

作文

笑顔で生きたいと思ってもらうこと

射水市立小杉小学校6年 梶原 光莉さん

『外耳道形成手術で右耳に穴を作り、こ膜を皮ふ移植。一方で、ぎょうざのような形の右耳を切除。次に胸の骨から切り出したなん骨の一部を、左耳の大きさに合わせて右耳の形に加工し、右耳の位置に埋め込む。そして耳のなん骨がうまく皮ふになじんだ一年後に、二回目の手術で周囲の皮ふを切り、右耳として立ち上げる』

これが三歳年上のお兄ちゃんがお医者さんから言われた右耳の治療方法です。しかし成功する確率は高くないそうです。お兄ちゃんは生まれつき右耳が奇形で、小耳症と呼ばれる病気のため右穴がふさがり、右耳は聞こえません。でも左耳は聞こえるため、日常は普通に生活できています。お兄ちゃんは右耳を手術しないことを決め、一生懸命勉強して、将来は医者として働こうと頑張っています。

私の自慢のお兄ちゃんです。しかし、時折、鏡の前で泣いているのを私は知っています。小耳症の人たちはどうやって生き抜いているのか、インターネットや新聞で調べたら、義耳という本物そっくりのオーダーメイドの耳を装着するという対処法があることを知りました。透けるような色で毛細血管にまでこだわった作りの耳で、現在は技術がものすごく進歩しているそうです。義耳を作っている会社は国内にいくつもあり、義指や義手、人工乳房まで本物そっくりに作り上げていて、それを利用している人たちは、自信をとり戻して日常を明るく生きていることが分かってきました。
私は“これだ”と思いました。現代の医療技術で回復できない人たちに生きる希望を与えられる義肢装具士として働きたいと思うようになりました。さらに深く調べてみると、発展途上国の障害者の人たちは、こうした装具自体を手に入れることができず、苦しみ困っているそうです。だから私は、英語だけではなく中国語やポルトガル語なども学んで、世界で困っている大人や子どものために、義手や義足などを作ってあげて、“生きたい”と思ってもらえるように手助けしたいです。

そのためにも、今、自分ができる学校での勉強をしっかりして、一歩一歩、夢の職業に向かって歩みを進めていきたいと思っています。お兄ちゃんのように世界中で困っている人たちに笑顔になってもらうために、私は世界で活躍できる義肢装具士として働きたいです。

講 評

世界で活躍できる義肢装具士として働きたいという夢が、そこに至る経緯や動機を含めて、それに対する強い思いとともに、わかりやすく明確に書けていました。また、優しく読みやすい文字で丁寧に書かれてもいて、そういう点にも好感が持てました。最後には、夢のために今しないといけないことに触れられていましたが、まずは広く色々な勉強をしていってください。応援しています。